私以外の誰かの日常
僕でない誰かを、誰かでない僕がカイテみる

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テスト初日、1日前の話

更新2回目です。
さっそくですが、昨日書いたものを載せてみます。
まだ書き始めたばかりなので、いろいろと荒い部分が多いかと思いますが、
気が向いた方だけでもよいので、読んでもらえると幸いです。



テスト初日、1日前の話

 ふらふらとした足取りが、ようやくアパートの庭の土を踏む。住み慣れたボロの我が家が、今は少しだけ恋しい存在に見える。
「あぁ、着いた・・・」
 自然と、そんな言葉をこぼしていた。
 暑さにやられたせいか、俺の頭はスクラップになりかけている。さっきから“暑い、疲れた”の単語をひたすらループするばかりだ。いっそのこと、停止していた方がうっとうしくなくていいのだが。
 殺風景な庭を横切り、玄関のドアを勢いよくあける。ごみが散らばる部屋の中に、一人の少女が読書に励んでいる姿があった。
 どさっ、と、勢いよく廊下に倒れこんでみると、ヒヤッと冷たい感触がたまらなく気持ちよい。
「樹月、帰ってきたの?」
 奥から、とても落ち着いた声で少女が言う。少女というのは神奈だ。俺の家にしばらく前から住み着いている、“自称神様”だ。俺は神様っていうのは、もっとこう、神々しい、とか、そういう威厳のあるものだと思っていたけど、そうでもないらしい。どう見ても17、8の女の子。見た目も行動も人間のそれとほとんど変わらないので、本当に神様なのかどうか疑わしい。今は、相手の様子をさぐりつつ、とりあえず、家に住まわせている。
「そんなとこで寝てても、私は起こさないけど」
 俺はそんな神奈の声を無視して、体温でだんだん生ぬるくなってきた床を離れ、新しく冷たい場所を探して転がる。
「・・・。テスト勉強の息抜きに出かけたんじゃなかった?」
「そう、だっけ・・・」
「自分で言ってた」
 もちろん覚えている。覚えてはいるが、それを忘れたくなるときだってある。特に、今日みたいな湿度がバカみたいに高い日は、たとえ明日がテスト当日だという事実があっても、少しくらいはサボりたくなるものだ。
「・・・もう少し休憩する」
「そう」
 神奈は俺と話しながらも、パラパラとページをめくっている。いつもの癖だ。まともに向き合って話すことのほうが珍しいかもしれない。ついでに、声色をまるで変えないせいで、感情を読み取るのが極めて困難だったりする。
「私は構わないけど、後で文句言わないでね」
「言わないよ。そんなことで」
「この前は言われたけど」
「・・・嘘だね。この前って、いつだよ?」
「樹月が遅刻した日」
「遅刻した日・・・?」
・・・そう言われて、少しばかり思い当たるものがあった。あれはたしか、徹夜して遊びに行った翌朝のことだ。俺は昼過ぎまで爆睡で、結局その日一日は大学をサボることになったのだ。
「あれは・・・あんな時間まで寝てるやつがいたら、起こしてくれるのが普通だろ」
「知らない、人間の普通なんて。それに、あんなに怒鳴らなくてもよかったんじゃない?」
 その日は小テストあったからな・・・結構怒った気がする。
「今だって、樹月があのまま寝てて、私が起こさなかったら、また同じようなこと言うんでしょ」
「あ、いや、それは・・・まぁ・・・」
 確かに、言うかもしれない。ていうか言う、間違いなく、俺なら。
「言わないほうがいいなら、言わないようにするけど」
「・・・いや、お願いします。これからも起こしてください。すみませんでした」
 寝転がるのをやめ、正座して謝る。
「そう」
「・・・」
 「そう」というのは神奈の口癖のようなものなのだが、俺の悩みの一つでもある。普通、こういう会話の流れなら、相手は、話もしたくないほどに怒っている、と見るのが正しいだろう。だが、神奈の場合そうでもなかったりする。常にこんな感じで冷めたしゃべりをするものだから、いつ怒っていて、いつ怒っていないのか、わかならい。
 念のため、ちらっと神奈の顔を見る。わかってはいたが、完璧なポーカーフェイスだ。だが、神奈の声がいつも静まっているのも、俺の方をちらりとも見ずにしゃべるのも、彼女がただ冷静で、よそ事しながらしゃべるのが普通だと思っているからだ・・・と、俺は勝手に思っている。・・・信じている。
 それに、神奈は今までに、一度も怒ったことがない。少なくとも、俺の家に住み始めてからは。こいつは本当に神様のように優しいやつなのかもしれない・・・。
「なぁ、神奈」
「なに?」
「お前って、怒ったり、腹が立ったりしないのか?」
「どうして?」
「いや、なんとなく」
「私、怒ってるように見える?」
「いや、その・・・お前って思ってること全然表情に出さないから、わかんないんだよ」
「・・・なら、普通の人はこういうとき怒ったりするものなの?」
「普通の人って・・・人間ならってことか?・・・微妙だけど、気の短いやつとか、性格によっては怒るかもしれない」
「じゃあ、私は、そういうことで怒ったりする人に見える?」
「うぅ・・・。ちょっと、見えるかも」
「そう」
「・・・」
「・・・」
 神奈はそのまま本を読むだけの作業に戻った。
「あの・・・神奈?」
「なに?」
「その・・・怒ってる・・・?」
「?さっき、言ったじゃない」
 当然のように、そう言う。・・・言ったっけ?
「えっと・・・もう一回、言ってもらえませんか」
「・・・樹月は、私が怒ってるように見えるんでしょ?」
「うん」
「なら、それが答え。人は相手からどう見えるかがすべてなの。例え、自分は怒っているつもりがなくても、相手の目にそう映るのなら、それが結果。怒っていないと口にするのは自由だけど、それは相手からの見え方に多少の変化を与えるだけであって、必ずしも・・・」
「ちがう、ちがうから。俺が聞きたいのはそういうのじゃなくて・・・」
 あわてて神奈の説明をさえぎる。この前も、こんな感じで30分以上、難しい説明をされたことを思い出した。
「だから、神奈自身はどう思ってるわけ?俺が見た感じじゃなくて・・・」
「・・・・・・・・・」
「神奈?」
「・・・・・・・・・」
 しばらく待ってみたが、神奈はしゃべり始めない。珍しいことに本をめくる手も止まっている。
「・・・答えたくないのか?」
 そう聞くと、わずかに首をコクンとした。
「・・・なら、いいや」

 そんな感じで、今日の神奈との会話は終了。なんで答えたくないのかは、ものすごく気になったが、今聞くのはやめておいた。また今度、話すときのネタにでもすればいいだろう。とりあえず今は、テスト勉強を再開することにする。

 夏の夕暮れは、相変わらず過ごしにくい。だらだらと過ごしているうちに、あっという間に夜が来て、気が付いたときには一日が終わる時間。
 結局、神奈が怒ってるかどうかはわからなかったし、テスト勉強もたいしてすすまなかった。
「神奈」
 俺はベッドで布団にくるまりながら、ソファーで毛布をかぶっている神奈に呼びかける。
「なに?」
「お前は・・・」
「?」
「そんなことじゃ怒らないと、俺は思ってる」
 なんとなく、そんな言葉を口にしてみた。
「・・・そう見えるんなら、そうかも」
 相変わらずの口調だったけど、ほんの少しだけ、嬉しそうに聞こえたのは、俺の気のせいではないと思う。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

はじめまして

今日から始めます。
ShiM(シン)といいます。

このブログは僕が自分の足跡を確認するために作りました。
毎日少しでも小説がかけたらいいな、と考えていますが、少し不安。
誰かに見てもらう前に、自分が見て納得できるものができるように・・・

はじめまして、とタイトルに入れたけど、自分に向けて言ってるつもり・・・なのかな?

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